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なぜ日本人には「受動態」が分かりにくいの?

私は最近、もしかすると日本人に受動態が分かりにくい理由は、 日本語の仕組みにあるのではないか と思うようになりました。 日本語なら、こんな文が普通に言える たとえば、 「このアプリは、100万人以上の人が使っています。」 何もおかしくありません。 少し硬い文章でも、 「この制度は、多くの自治体が導入しています。」 「この問題は、多くの研究者が指摘しています。」 と言えます。 ここで面白いのが、「は」と「が」です。 「このアプリ は 」で、まず「このアプリについて話します」と話題を出す。 そのあとに、 「100万人以上の人 が 使っています」 と、「使う人」を出すことができます。 つまり日本語では、 何について話すのか  と 誰がその動作をするのか を、一つの文の中に自然に入れることができます。 だから日本語を話すとき、 「このアプリは使う側じゃなくて、使われる側だから受動態にしなくちゃ」 などとは考えません。 ところが英語では、少し事情が違います。 英語では「何を主語にする?」を決める 同じ内容を英語で言ってみます。 「100万人以上」の人を主語にするなら、 More than one million people use this app. これは能動態です。 一方、「このアプリ」を主語にして、このアプリについて話を続けるなら、 This app is used by more than one million people. となります。 今度は受動態です。 英語では、まず主語を置きます。 私は今、何について話すのか。 それを決めたあと、その主語が「する側」なら能動態、「される側」なら受動態になる。 日本語なら一つの文の中に、 「このアプリは」 + 「100万人の人が使っている」 をそのまま入れられるのに、英語では主語を決めることで、文の形も決まってくるわけです。 もしかすると、日本人に受動態が分かりにくいのは、ここなのかもしれません。 日本語では、普段そんな選択を意識しなくても話せてしまうのです。 「be動詞+過去分詞」が、かえって分かりにくかった もう一つ、私自身が受動態を分かりにくいと感じていた理由があります。 それが、 be動詞+過去分詞 という覚え方です。 もちろん、文法としてはこれで正しい。 でも私は、be動詞と過去分詞を一つのセットとして覚えるより...
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正しい英語 vs 伝わる英語

先日YouTubeを見ていたら、電車の中で、外国人旅行者らしき人たちのスーツケースが通路に置かれ、他の乗客が通れなくなっている場面がありました。 日本人らしき人が英語で「ここにスーツケースを置いてはいけない」ということを伝えていましたが、言われた人たちは少し怪訝そうな表情をしていました。 もちろん、その場にいたわけではないので、実際に何があったのかは分かりません。 でも、その場面を見ながら、海外で生活したり外国人と働いた経験から、こんなことを考えました。 正しい英語を話すことも大切だけれど、「どう伝えるか」は、もしかするとそれ以上に大切なのではないか。 たとえば、 You shouldn’t leave your suitcases here. (ここにスーツケースを置くべきではありません。) 文法的には間違っていません。言いたいことも伝わります。 でも、日本語でも、知らない人にいきなり「ここに置いてはいけません」と言われたら、少し強く感じるかもしれません。 では、こんな言い方ならどうでしょう。 Hello, excuse me, but we don’t leave suitcases like this in Japan. Other passengers need to get through. Could you move yours? (すみません。日本ではこのようにスーツケースを置かないんです。他の乗客が通るので、動かしてもらえますか。) ここでは、 you ではなく we を使っています。 「あなたが間違っている」と相手を直接指摘するのではなく、「ここではこうしています」と、まずこちらのルールを説明する言い方です。 さらに、なぜ動かしてほしいのかを伝えてから、お願いをしています。 あるいは、 Your suitcases are blocking the way. Could you move them, please? (スーツケースで通路がふさがれています。動かしてもらえますか。) という言い方もできます。 こちらは、人ではなく主語を スーツケースにして今起きている状況 に焦点を当てています。 外国に行くと、自分の国では当たり前だったことが、そこでは当たり前ではないことがあります。 反対に、日本を訪れた人も同じです。 もしかすると、通路に大きな...

夏の特別レッスン☆2026

恒例の夏の特別レッスンを行いました。 今年のテーマは「偉人たちと出会おう!― 英語で読んで、考えて、話してみよう 」 英語のレベルに合わせて内容を少し変えながら、英文を読むだけではなく、読んだことについて考えたり、自分の言葉で伝えたりする活動を取り入れました。 ◆ 英検3級レベル ― ナイチンゲールの生き方から、自分のことを考える 英検3級レベルの生徒さんは、まずナイチンゲールの伝記を英語で読みました。 どのような試練に直面し、そのときにどう考え、どう行動したのかを追っていきます。 そして、読んで終わりではありません。 今度は、ナイチンゲールと話しているような形でチャットをします。英作文の練習です。 「私も周りの人からできないと言われた。でも私はこうしたよ。あなたは、自分にはできないと思っていることはない?」 そんなふうにナイチンゲールから問いかけられたら、自分ならどう答えるでしょう。 「自分で自分に限界をつけていることはないかな?」 「できないと思っていることに、もう一度挑戦するとしたら?」 伝記の中の出来事を、昔の偉人の話として読むだけではなく、少し自分自身に引き寄せて考えてもらいました。 そして最後は、ナイチンゲールの ポップアップカード作り です。ナイチンゲールの人生をキーワードで表し、後ろからナイチンゲールが顔を出すという仕掛け。compassion などすこし難しい単語も使いました。 飛び出す仕掛けは、うまくいくこともあれば、思ったようにいかないことも。 それも含めて、読んで、考えて、最後は自分の手を動かして作る特別レッスンになりました。 ◆ 英検2級レベル ― 世界史から人物へ、そして英語での会話へ 英検2級レベルの生徒さんは、もう少し内容を広げました。 最初に、世界史の大きな流れを英語で読み、自分なりに整理してまとめます。 そのあとに読んだのが、 Florence Nightingale(フローレンス・ナイチンゲール) Hideyo Noguchi(野口英世) The Wright Brothers(ライト兄弟) の3つの伝記です。 最後は、世界史や3人の人物について、AIと実際に英語で会話することにも挑戦しました。 やってみると、これがなかなか難しい。 自分が言いたいことを英語にするだけではなく、まず相手が何を言っているのかを聞いて理解し、それに対...

Spacewalking With You

最近、話題になっていた漫画『君と宇宙を歩くために』バイリンガル版を読んでみました。 高校生の小林は、俗に言うヤンキー。転校生の宇野は大声をきくと固まってしまう、 決まったやり方でないと混乱する、など「普通」のことをするのがむずかしい。 二人が出会って、共鳴して、同じクラブに入り・・・という内容でした。 2024年マンガ大賞をとっった作品です。 1巻しか読んでませんが、正直、私には受賞理由がよくわかりませんでした。 成長期のふたりにとって、日々の生活は宇宙遊泳のようなものなのかな、と思いました。 でもひとつ「なるほど」と思ったことがあります。 英語の題名が Spacewalking with You だったことです。 spacewalk は「宇宙遊泳」、また動詞で「宇宙遊泳をする」という意味です。 「space + walk で、こんなふうにも使えるんだ」と思いました。 本を読むと、「全部理解しなきゃ」「全部面白くなきゃ」と思ってしまうことがあります。 でも、本当はそんなことはありません。 一冊読んで、一つ新しい言葉を知る。 一つ新しい考え方に出会う。 一つ気になる場面が残る。 それだけでも、その本を読んだ価値は十分にあると思います。 英語で読んでも同じです。 最初から全部理解することは目指しません。 知らない単語があっても、分からない表現があっても、まずは読み進めてみる。 読み終わったあとに、「今日はこの言葉を覚えたな」「この場面が好きだったな」と思えるものが一つあれば、それは立派な読書体験です。 そうやって少しずつ積み重ねた言葉や物語は、 テストの点数以上に、生徒さんの中に残っていくと思います。 だから教室では、「全部分からなくても大丈夫。」と伝えています。 一冊の本から、一つだけでも持ち帰る。 そんな読書を、これからも大切にしていきたいと思っています。

おかげさまで♡16周年

今年も梅雨の季節になりました。 大雨のニュースを見るたびに、これまでの教室の日々を思い返します。 振り返ると、雪の日もありました。 台風が近づいて予定を変更したこともありました。 地震が起きて心配しながらレッスンを行ったこともあります。 そのたびに教室へ通い続けてくださった生徒さん、支えてくださった保護者の皆さまのおかげで、おかげさまで今年で教室を始めて16年を迎えることができました。 本当にありがとうございます。 教室を始めた頃は、英語を「できるようになること」が一番の目標でした。 もちろん、その思いは今も変わりません。 でも続けていくうちに、英語はテストや資格のためだけのものではなく、本を読み、さまざまな人の考え方や世界に触れるための扉でもあると、ますます感じるようになりました。 AIが身近になり、知りたいことはすぐに調べられる時代だからこそ、一冊の本をじっくり読み、その物語や考え方の中にしばらく身を置く時間には、これまで以上の価値があると思っています。 これからも文法や英検対策を大切にしながら、それと同じくらい「読む楽しさ」や「考える楽しさ」も伝えられる教室でありたいと思っています。 これからも、一人ひとりの成長に寄り添いながら、安心して学べる場所をつくっていきたいと思います。 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

「てんてこ舞い」の英語

英語を勉強していると、「英語が難しい」ばかりに目が向きがちですが、 「これ、日本語だとなんて言うんだろう?」 という瞬間があります。 たとえば「てんてこ舞い」。 「忙しい」でもないし、 「大変」でもないし、 「パニック」でもない。 「いくつものことを同時に抱えて、右往左往しながら何とか回している」 そんな独特の感じを一語で表している。 そこで、「あ、juggle だ。」とパシッとはまる。 こういう瞬間って、単語を覚えたというより、 「意味と意味がつながった」 I'm juggling work and elderly care. 仕事と介護で、てんてこまいです。 juggle は、ジャグリングのようにいくつものボールを落とさないように回すこと。 仕事と家事。work and housework 仕事と子育て。work and childcare 勉強とバスケの部活。school and basketball I'm juggling  work, housework, childcare and elderly care. という方もいらっしゃるかも知れません。 I' juggling work and family responsibilities. というと、仕事と家庭に関するもろもろ、 料理や掃除などの家事にくわえ、こどものお迎え、病院のつきそいなど、 家庭に関することもろもろを回している感じです。 自分の中にぼんやりあった感覚に、ぴったりの言葉が見つかる。 「パシッとはまる」という感覚は、英語学習の喜びの一つかもしれません。 単語帳では説明しきれないけど、 長く続けていると時々やってくる、ちょっと嬉しい瞬間です。

英検3級で出会ったAnn Lowe

6月になりました。そろそろ梅雨ですが、ジューンブライドの季節でもありますね。 先日、英検3級の読解問題を指導していて、とても印象に残る人物に出会いました。 その女性の名前は アン・ロウ(Ann Lowe) 。 実は、アメリカの元大統領ジョン・F・ケネディの妻、ジャクリーン・ケネディのウェディングドレスをデザインした人物です。しかも、当時としては珍しい黒人女性のデザイナーでした。 アン・ロウは、祖母も母も仕立て職人という家庭に生まれ、自身も自然とその道へ進みました。後にニューヨークでデザインを学びますが、人種差別のために他の学生とは別の部屋で授業を受けなければなりませんでした。 それでも彼女は努力を続け、やがてアメリカの上流階級の女性たちのドレスを手がけるようになります。 私は気になって、後で彼女の作品をネットで見てみました。 正直な感想は、 「上品」でした。 豪華なのに派手すぎない。 美しいのに着る人を苦しめる感じがしない。 どこか動きやすそうで、実際にその服を着て生活する女性のことまで考えているように見えました。 英検の問題を解いていると、「知らなかった人」に出会うことがあります。 単語や文法の勉強も大切ですが、私はこういう出会いも英語学習の魅力の一つだと思っています。 英語が読めるようになると、日本語だけではなかなか出会えない人物や物語に触れることができます。 今回のアン・ロウも、その一人でした。 英検の長文には、時々こんな素敵な物語が隠れていると思います。