先日YouTubeを見ていたら、電車の中で、外国人旅行者らしき人たちのスーツケースが通路に置かれ、他の乗客が通れなくなっている場面がありました。
日本人らしき人が英語で「ここにスーツケースを置いてはいけない」ということを伝えていましたが、言われた人たちは少し怪訝そうな表情をしていました。
もちろん、その場にいたわけではないので、実際に何があったのかは分かりません。
でも、その場面を見ながら、海外で生活したり外国人と働いた経験から、こんなことを考えました。
正しい英語を話すことも大切だけれど、「どう伝えるか」は、もしかするとそれ以上に大切なのではないか。たとえば、
You shouldn’t leave your suitcases here.
(ここにスーツケースを置くべきではありません。)
文法的には間違っていません。言いたいことも伝わります。
でも、日本語でも、知らない人にいきなり「ここに置いてはいけません」と言われたら、少し強く感じるかもしれません。
では、こんな言い方ならどうでしょう。
Hello, excuse me, but we don’t leave suitcases like this in Japan. Other passengers need to get through. Could you move yours?
(すみません。日本ではこのようにスーツケースを置かないんです。他の乗客が通るので、動かしてもらえますか。)
ここでは、you ではなく we を使っています。
「あなたが間違っている」と相手を直接指摘するのではなく、「ここではこうしています」と、まずこちらのルールを説明する言い方です。
さらに、なぜ動かしてほしいのかを伝えてから、お願いをしています。
あるいは、
Your suitcases are blocking the way. Could you move them, please?
(スーツケースで通路がふさがれています。動かしてもらえますか。)
という言い方もできます。
こちらは、人ではなく主語をスーツケースにして今起きている状況に焦点を当てています。
外国に行くと、自分の国では当たり前だったことが、そこでは当たり前ではないことがあります。反対に、日本を訪れた人も同じです。
もしかすると、通路に大きな荷物を置かないことを知らないのかもしれません。
もちろん、本当の理由は分かりません。
でも、最初から「マナーを守らない人」と決めつけるのではなく、
「知らないだけかもしれない」
と少し想像してみる。
それだけで、最初に出てくる英語も変わってくるように思います。
そして、感情的にならずに話しかけて、こちらが困っていること、どうしてほしいのかをきちんと伝える。
それでも聞いてもらえなければ、乗務員にお願いすればいい。
大切なのは、我慢することでも、相手を言い負かすことでもなく、今起きている問題を解決することです。
英語を勉強していると、つい「この英文は正しいか」「この単語で合っているか」が気になります。
もちろん、それも大切です。
でも実際に人と英語で話すときには、その一歩手前に、
相手にはどう聞こえるだろう?
どう言えば、こちらの意図が伝わるだろう?
と考えることがあります。
英語は、正しい文を作るためだけのものではありません。
相手と自分の間にある違いを少し想像しながら、それでも言いたいことはきちんと伝える。
そんな力も、英語を学ぶ中で育てていけたらと思います。

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